久しぶりの娘の話。
娘は福祉施設で重度の知的障害者のお世話をしています。
おっきい福祉施設の寮で、児童福祉なんだろうか…
担当は21歳の女性だけど、本とは18歳までの子どもたち(?)です。
大変なお仕事です。
娘は普通に高校を卒業して、大学受験に見事にふられ、就職しました。
一年目は地元の保育所で臨時の保育士(免許なし)。
そして今の仕事に就いて2年が経ちます。
身近に知的障害者がいるわけでもなし、介護を経験しているわけでもないのに、
いきなり今の仕事をしているのは、見上げたもんです。
知的障害があるとはいえ、体は立派な大人の入寮者。
年頃の娘が年頃の男の子のお風呂の介護やら粗相の始末をしたりしてるんだから。
まあ仕事ですから、きちんとやらないとね。
その施設で少しだけ入寮者とも接したことがあるんだけど、
そんな経験の無い私は、どう接したらいいのかまるでわからないし、
とても疲れるだろうと思っていた。
それが接し方があっているかあっていないかわからないけれど、
癒される時間だったんです。
どうしてかと考えると、その子達はとってもまっすぐなんです。
裏も表もないし、したいしたくないもない、あるがままなんです。
そうとしかできないんです。
短時間しかいない私には、癒しでしたが、
いつもいる娘たちスタッフにとっては、辛い時もある。
発作が起こると大人の男が暴れるのに対処しなくてはならないし、
同じ粗相を繰り返し、簡単なことができないし、
こだわりが強く融通がきかない。
まったくもうって怒りの気持ちと、どうにかしてあげたい無力感。
それに対する世の中の不理解…行政の対応の悪さ。
スタッフ不足、重労働、施設の不足、
その子たちのおかれた家庭環境もそれぞれ。
きっとあの子達も、暴れたいわけじゃない、きっとなんでもきちんとやりたいし、
怒られたくない、自分を傷つけたいわけじゃない、
そうとしかできないだけ。
何かがうまくいかなくて、勝手にそう行動してしまっているだけ。
私はほんのちょっと触れただけだけど、感じたこと、
弱者とよばれる立場の人々(それは全ての人かもしれない、何かしら欠けているものだから)が、
世の中に埋もれひっそりとでいいから、穏やかに暮らせる世の中にならないかなあって。
重度の知的障害者は明らかに弱者です。
でも無駄な命ではない。私は癒されたし、考えさせられた。
娘は仕事に就けた。
彼らは苦しみつつ朗らかに生きている。
「くちづけ」という映画を是非観てみてください。
貫地谷しほりさんと竹中直人さんが出ています。
なかなかこの世界が網羅されています。
そして、美しい映画です。
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