2012年8月4日土曜日

一人旅

今日、長男が旅から帰って来ました。
自転車で四国一周の旅。
彼にとって初めての一人旅。
自分で計画してテントを積んででかけました。

初日にはパンク。
どうにか直してもらったもののまたパンク。
高知の知人に助けてもらって再出発。
どうにか予定通り室戸で野営。
しかし目が覚めると台風の影響で雨風が強く、テントから出られない…
そりゃあ台風のメッカ室戸岬ですもの。
それでもなんとか向かい風の中出発して徳島市内に到着。
前夜に知り合ったお遍路のおじさんに聞いた人を探すも見つからず、
とうとう電話してきました。
行く前は「雨降ったらどうするが?寝るとこは?」と言う次男に、
「雨ぐらい覚悟しているし、いざとなったらどこででも寝れるさ」と言っていた長男。
あれはどうしたんだ?それくらい覚悟していたんじゃないのか?
自分でどうにかしろ、と言いたいのを我慢して、
「誰かに聞きなさいよ、徳島の知り合いに電話してみるけど、自分でも探してみなさい」
と言うに留めました。
一人で心細くなっているところにあまりにも突き放すことができませんでした。
結局知り合いには連絡が取れずにいると、
「旅好きのおじさんが泊めてくれるって」とメール。
良かった、自力でどうにかできたやん、と一人旅の醍醐味だなとおじさんに感謝。

それでどうにか自力でどうにかすると思っていたら次の晩にも電話。
またもや泊まる所。
予定していたところが閉鎖していて、もう一つはお金がかかるからいくらか調べてほしいと。
そんなの、そこにいる人に聞けよ!と怒鳴りたくなりました。
結局、そこに有料でテントを張ることにしたみたいです。
最後の日は予定通りのところに泊まることができて、
今日夕方無事帰り着いたという次第。

4泊5日の旅は、彼にとって大変だったかな、楽しかったかな?
私にとって少しの心配はあったけれども、大きな期待をして送り出しました。
しかし、ふたを開けてみればくじけてしまいそうな電話が…
始めは情けない気持ちでしたが、ふと考えました。
彼にとって初めての自転車での一人旅。
まあ口ではでかいことを言っていても、不安もあったでしょう。
そして、一人で迎える困難は、私が思っている以上に彼には大きく感じたのかもしれない。
確かにその困難をどうにかなることとして捕らえられないのは仕方ないことなのかもしれない。
だって経験したことないんだから。
私にとって見れば些細なことでも、一人で解決したことのない彼にとっては初めてのこと。
だからそれを理解して、やんわりと突き放そう。
頭ごなしに叱るのはやめよう。
そう理解して私の気持ちを抑えました。

かわいい子には旅をさせろってね。
きっと彼にとって、一人で旅するということがこの旅の一番の収穫だ。
これを繰り返すことによって、乗り切る方法も旅の楽しさも自分のものにしていくでしょう。
実際、面白い話がたくさん聞けました。
若いっていいなあってね。

今は不幸なことに携帯が普及して、彼の成長の機会を摘んでいると思いました。
どうしてこんなに離れたところに助けを求めるのか?
そこにいる人に助けてもらいなさい。
こちらも連絡ができると思うと無事を確認したくなる、出ないと心配する。
ないならないでどうにでもなるのに…知らせがないのは元気な証拠…
私からの連絡はぐっと我慢しましたけど。 テレビ(うちにはありませんが)、PC、携帯…
というものはある程度大人になってからで充分なんじゃないかな。
どちらにしてもそのうち使わなくてはならないようになると思うから。
子供のうちは、もっと実感の中で生きてほしいと思います。
手を使うこと、体を使うこと、その上で頭を使って生き延びてほしい。
人と関わること、助けられていることの実感、だれかのためにやりたいと思う気持ち。
今回の旅でもたくさんの方に出会い、助けられています。
本当にありがとうございます。

今回の長男の旅、4泊5日、走行距離800キロちょっと、だいたい四国外回り一周。
体も精神も成長して帰ってきました。
私も親として考えることができました。

長男よ、ありがとう、そしておめでとう。